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2024年9月7日

文系院試で失敗しないためのドイツ語勉強法

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城戸隆志

東京大学大学院人文社会系研究科(単位取得退学)

担当科目:ドイツ語



大学院入試を突破するためのドイツ語勉強法ですが、早めに目指す大学院の過去問を手に入れ、どのレベルのドイツ語力が要求されているかを調べましょう。そこから逆算的に学習計画を立てていくことになります。

 

しかしすべての大学院入試に共通する基礎的なドイツ語力があるので、まずはそこからお話したいと思います。



1. 基礎~初級編 簡単な参考書を繰り返し学習しよう

 

通っている大学にドイツ語の入門講義があれば、まずはそれをきちんと履修しましょう。

ただし教員の教える力はピンキリなので、教え方の下手な先生に当たってしまう可能性もあります。そうしたリスクに対応するためにも、入門用の参考書は必須です。

(※参考書選びにあたっては、Amazon などの評価を参考にするのも良いですが、 実際に書店に行って手に取ってみることをお勧めします)

 

大切なのは、入門段階ではあまり難しい参考書は選ばず、簡単なものを繰り返し使うことです。たとえば 

 

『ゼロから始めるドイツ語』(三修社)

 

などは必要最小限の情報がシンプルにまとめてあります。

 

これとは別に、詳しい内容の参考書も重宝します。いわば辞書的に分からない箇所を調べるためのものです。この手の参考書として有名なのは、

 

『必携ドイツ文法総まとめ』(白水社)

 

ドイツ語の文法がほとんど網羅されている優れもので、初級~上級レベルまで活用できます。ただし間違っても最初のページから読むような真似はしないでください。

 

次に単語の勉強についてお話しします。ドイツ語に限らず第二外国語の学習でネックになってくるのは単語力です。文法はしっかりマスターしているのに単語はさっぱりという人はかなりいます。

 

初級の教科書などで出てくる単語を一つ一つ覚えていくのは必須ですが、単語集で基礎的な単語を一気に覚えてしまうという手もあります。

例文がついているものがいいですが、一つ気をつけなければならないことがあります。

例文が難しくて、一通り初級文法を学んでいないと読めなかったりするのです。なのでおすすめとしては、

 

『キクタン ドイツ語【入門編】独検5級レベル』(アルク)

 

簡単な例文とともに500語レベルの単語を学ぶことができます。なお初級文法を終えて、ある程度ドイツ語を読めるようになった人は、 

 

『新独検対策4級・3級必須単語集』(白水社)

『最効率! 例文で覚えるドイツ語単語』(研究社)

 

などをやってみましょう。ただし後者は例文がやや難しめです。



2. 初級~中級編 授業を活用しながら読解力を鍛えよう

 

初級の文法をマスターし、基礎的な語彙も覚えたら、いよいよ読解能力を身につけることになります。

 

このステップでも、大学の授業を活用できる人は活用してください。というのもドイツ語に限らず第二外国語は、中級レベルへ橋渡しする読解参考書が少ない上、自学自習での読解練習は難しいからです。なお参考書としては次のものがおススメです。

 

『大学1・2年生のためのすぐわかるドイツ語 読解編』(東京図書)

 

初級文法を終えた学習者が、読解の基礎を学ぶのに素晴らしい内容ですが、残念ながら現在(2024年6月時点)、中古しか手に入らないようです。



3. 中上級~大学院入試編 過去問を研究して入試形式にあった対策を!

 

はじめに読解用の参考書をいくつか挙げておきます。

 

『独文解釈の秘訣Ⅰ・Ⅱ』(郁文堂)

『独文解釈の研究』(郁文堂) 

 

どちらもちょっと古いのですが、読解力養成には役立ちます。ある程度の読解力を身につけたら、いよいよ大学院入試の対策をしてゆくことになります。

 

はじめにも書きましたが、まずは目指す大学院の過去問を手に入れましょう。それによって勉強法が決まってきます。調べるべきは

 

①試験形態 ②時代や分野 ③難易度

 

まず①ですが、たとえば「辞書持ち込み可」という大学院入試もあります。その場合はそれを前提とした勉強をすることになります(たとえば単語学習を必要最小限にしぼり、読解力養成に時間をかけるなど)。また読解問題だけなのか、それとも作文があるかなどでも勉強法は変わってきます。

 

次に②ですが、たとえば哲学や文学などの大学院では、比較的古い時代の文章が出ることが多いです。いっぽう社会科学系であれば、主にジャーナリスティックな文章ということもあります。

 

③は②とも関連してきます。古い時代のものであれば文章も難しめで、延々と副文が続くということもあります。また文学系の文章は語彙も豊富なので、その対策も必要です。逆に新しい時代の文章は短くて読みやすかったりします(以上はあくまでも一般的な傾向で、一概にこうだとはいえません)。

 

さて過去問ですが、大学院によってはあまり公表していないところもあります。その場合は自分が付こうと思っている教授(准教授)に、大学院入試の学習法を訊ねるといいです。

 

フレンドリーな先生であれば、具体的なテキスト(勉強用のドイツ語原書)を教えてくれたりもします。



1日5~10ページで読解力が格段に伸びる

 

次に私自身の行なった勉強法について、具体的に説明しようと思います。

 

私は文学系の大学院を受験したので、比較的高度なドイツ語力を要求されました。教授に相談したところ、「1日 5ページから10 ページ、難しめの文章を読みなさい。どうしてもわからない時は翻訳を見ても構いません。3ヶ月もやればだいぶ読めるようになりますよ」と言われました。

 

この勉強法を律儀に続けたのですが、なるほどある時期からメキメキ読解力がつくのを実感しました。ちょっとハードでしたが、効果的な勉強法ではありました。

 

もちろんドイツ語だけでなく、大学院受験に向けて他にもやるべきことが沢山あるので、「1日 5ページから10 ページ」はなかなか続けるのは大変ですが、時間のある人は是非チャレンジしてみるといいです。もちろんテキストは、大学院入試のレベルにあったものを選んでください。

 

次に作文ですが、まずは文章を暗唱することから始めましょう。そもそも作文は英語でも難しいですが、さらに馴染みの薄い第二外国語ですので、とても大変だと思います。

 

だからまず暗唱や音読でドイツ語になじむとともに、自分の中で文章のバリエーションを増やしてゆき、それから入試レベルの文章を作文できるようにしていけばいいと思います。ネイティヴの先生に見てもらえる人は、積極的に見てもらいましょう。 

 

最後に独独辞典を一冊すすめておきます。

 

『Großwörterbuch Deutsch Als Fremdsprache』(Langenscheidt )

 

限られた語数で平易な説明がなされており、語彙力アップに効果的です。

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