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2024年9月7日

臨床心理学系大学院を徹底紹介! 絶対に成功するための秘訣

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李匯崢

龍谷大学大学院臨床心理学研究科修了

担当科目:心理学



臨床心理学の学部での勉強を終え、その専門知識を深めるために大学院への進学を考える方は多いでしょう。

臨床心理学系大学院への進学に成功するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

 

以下では、私自身の経験を踏まえて、臨床心理学系大学院の徹底紹介と、絶対に成功するための秘訣について詳しく解説します。

 

一、成功の秘訣は目標を持ち続けること

 

私は、中国山東省青島市出身で、8年前に日本に留学しました。中国で日本語専門学校を卒業後、独自に渡日し、日本の専門学校に通いました。甲南大学経済学部に合格したものの、2年生の時に心理学に興味を抱き、公認心理師の国家資格プログラムに参加することを決意しました。この決断が私のキャリアの転機となりました。

 

その後、龍谷大学の臨床心理学修士課程に進学しました。修士課程の2年間では、児童養護施設、精神科病院、教育施設、企業などで多様な実習を経験しました。これらの実習を通じて、実際にカウンセリングを行い、実践的な臨床経験を積むことができました。

 

現在は、甲南大学の博士後期課程に進み、日本におけるマイノリティ心理師の直面する困難と支援に焦点を当てた研究を行っています。外国人が増加する日本社会において、マイノリティ心理師としての課題や支援体制の不足に着目し、研究を深めています。今年の7月からは、JST次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)に選ばれ、このプログラムの助成を受けて研究を進めています。

 

これまでの経験を通じて感じたことは、目標を持ち続けることの重要性です。困難な状況に直面しても、自分の目標を見失わず、粘り強く取り組むことで道が開けることを実感しました。皆さんも、臨床心理学系大学院への進学を目指して、これらのポイントを押さえながら準備を進めてください。

二、「心の健康に貢献したい」という思いで臨床心理学を専攻

 

私が臨床心理学を専攻する決め手となったのは、「心の健康に貢献したい」という強い願望と、精神分析およびコフートの自己心理学に対する深い興味です。私自身、多文化社会における心理支援の重要性を痛感しており、特に日本において増加する外国人やマイノリティ心理師への支援が十分でない現状を改善したいと考えました。精神分析は無意識の心の動きを重視し、過去の経験や心の葛藤が現在の問題にどのように影響するかを理解するための強力なツールです。他者との関係性や共感が自己の成長に不可欠であると考えて、精神分析を自分のオリエンテーションとして選びました。

三、臨床経験を強みとした研究

 

私は大学院に進学し、臨床心理学専攻にて心理臨床の実践と研究を行う中で、多文化社会における心理臨床の文化的能力についての研究に取り組むことになりました。

 

修士課程では、「文化差による日本人と在日中国人の自己愛表現の傾向~日中関係の理解にあたって~」をテーマとして研究を行いました。この研究は、日本と中国の文化的背景を踏まえ、両国における自己愛傾向の特徴を明らかにすることを目的としていました。この研究では、日本と中国における自己愛の概念を比較し、その表現方法や意味合いの違いを探求し、日本と中国の自己愛と自己愛的甘えの構造の違いを分析し、文化的背景がこれらの心理的特性にどのように影響するかを検討しました。

 

また、修士課程では二年間にわたる児童養護施設での臨床経験を基に、「児童養護施設における小学5年生男児とのプレイセラピー」という事例論文を執筆しました。この論文は、2024年3月に龍谷大学大学院臨床心理相談室紀要第20号に掲載され、実践的な応用の一例として評価されました。

 

甲南大学大学院の博士課程では、日本におけるマイノリティ心理師が直面する特有の課題と、それに対する支援方法を探求することを研究テーマとしています。このテーマは、急速に多文化化する日本社会において、マイノリティ心理師が直面する具体的な困難を明らかにし、支援体制の改善を目指しています。

 

この研究は主に、言語の違いや文化的な誤解が心理療法においてどのように影響するかを研究し、効果的なコミュニケーション方法を模索しています。また、マイノリティ心理師がクライアントと向き合う際に直面する偏見や社会的孤立の問題を分析し、それに対する対策を提案します。これには、社会的支援ネットワークの構築や、コミュニティベースの支援プログラムの導入が含まれます。

四、私の院試体験記

 

1、具体性を意識した研究計画書。理論と実践のギャップを埋める方法を模索                 

 

私は研究計画書の作成において、特にテーマ設定の明確さと具体的な方法論の記述に重点を置きました。具体的には、以下の点に注意を払いました。

 

まず、研究テーマの選定に関しては、「日本におけるマイノリティ心理師の課題」というテーマを設定しました。このテーマは、日本社会において多文化共生が進む中で、外国人やマイノリティの心理支援の現場でどのような課題が存在し、それに対してどのような支援が必要かを明らかにすることを目的としています。テーマ選定の理由としては、近年の日本における外国人労働者や移民の増加に伴い、マイノリティに対する心理支援の重要性が高まっていることを挙げました。この背景を踏まえ、テーマの重要性を論理的に説明し、研究の意義を明確にしました。

 

次に、研究の実施方法については、具体的な計画を詳細に記述しました。データ収集方法としては、質的インタビューやアンケート調査を用いる予定です。質的インタビューでは、現場で働く心理師やマイノリティのクライアントから直接意見を聴取し、実際の課題やニーズを深く理解することを目指します。また、アンケート調査では、広範なデータを収集し、統計的に分析することで、一般的な傾向や共通する課題を明らかにします。さらに、実践的なフィールドワークも計画しており、実際の支援現場における観察や参与観察を通じて、理論と実践のギャップを埋めるための具体的な支援方法を検討します。

 

2、面接は根拠をもって論理的な回答を心がけました

 

面接は筆記試験とは別の日で、聞かれた質問は多くなかったため、メモ書きではありますが、質問と自分の回答をまとめました。時間は15分ほど。聞かれた質問は主に以下の3点です。

 

①「研究をどのように進める予定ですか?具体的な方法論を教えてください。」

 

回答:研究の進行は、以下のように計画しています。まず、質的インタビューを通じて、現場で働く心理師やマイノリティのクライアントから直接意見を聴取します。これにより、現実の課題やニーズを深く理解します。次に、アンケート調査を実施し、広範なデータを収集します。このデータを統計的に分析し、一般的な傾向や共通する課題を明らかにします。最後に、実践的なフィールドワークを行い、実際の支援現場での観察や参与観察を通じて、理論と実践のギャップを検討し、具体的な支援方法を提案します。

 

②「あなたの研究計画は現実的に実行可能だと思いますか?その理由は何ですか?」

 

回答:はい、実現可能だと考えています。まず、データ収集のためのネットワークがすでに確立されています。複数の心理支援機関やマイノリティコミュニティと連携しており、協力を得ることができる見込みです。また、必要なリソースや予算についても具体的な見積もりを立てており、申請先の助成金や研究費の獲得に向けた準備も進めています。さらに、データ解析についても、専門的なソフトウェアや分析手法を習得しており、計画通りに進められると確信しています。

 

③「この研究が完了した際に、どのような成果が期待されますか?社会や学術界にどのように貢献できると考えていますか?」

 

回答:この研究がもたらす成果としては、まず、マイノリティ心理師が直面する具体的な課題やニーズを明らかにすることで、効果的な支援策の提案が可能となります。これにより、心理支援の現場において質の高い支援が提供されるようになります。また、研究成果は学術界にも貢献します。マイノリティに対する心理支援の分野において、新たな知見や理論を提供し、今後の研究の基盤を築くことができます。さらに、社会的な観点からも、異文化理解や多文化共生の促進に寄与し、より包括的で公正な社会の実現に貢献できると考えています。

五、やりがいに満ちた大学院生活。批判的思考力やコミュニケーション能力も向上

 

私が大学院に入って感じたのは、学術的な探求の深さです。学部時代の基礎知識は出発点に過ぎず、専門分野の知識をさらに深めることが求められました。特に、自分の研究テーマに没頭し、専門的な文献を読み込み、実験や調査を行う日々は、大変ながらも充実したものでした。

 

ゼミ形式の授業では、毎回自分の意見を発表する機会がありました。これは初めての経験であり、当初は緊張しましたが、他の学生や教授との議論を通じて、自分の考えを深めることができました。こうした授業形式は、単なる知識の習得ではなく、批判的思考力やコミュニケーション能力の向上にも大いに役立ちました。

 

大学院生活で最も大きな部分を占めたのは、やはり研究活動です。自分の興味や関心に基づいた研究を進めることができるのは、非常にやりがいがありました。特に、自分で立てた研究計画に基づき、データを収集し分析する過程は、試行錯誤の連続でしたが、その分、研究成果を発表できたときの喜びはひとしおでした。

 

そして大学院では、自己管理能力が一層求められました。研究計画の立案からデータ収集、分析、そして論文執筆に至るまで、自分自身で管理しなければなりませんでした。加えて、指導教官との密なコミュニケーションも重要で、定期的なミーティングを通じて進捗を報告し、アドバイスを受けながら研究を進めました。

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