大学院で需要のあるEU研究! EUは果てしなき夢を追いかける!
EUが目指しているのは、まさに「ユートピア」たる社会です。
EUは、自由、平等、法の支配、民主主義、人権尊重、「戦争のない平和な社会」といった「理念」を実現した社会という、「果てしなき夢」を追いかけているのです。
「理念」というのは、本場のフランスやドイツやイギリスにおいては、日本とは少し意味合いやニュアンスが異なります。たとえば「男女同権」や「女性の社会進出」は、戦後、多くの西欧社会が「実現」することのできた理念です。
実を言うと、フランス革命で自由・平等・兄弟愛が謳歌されたものの、その後のフランス社会はすぐに、それらが全く反映されていない男性社会になりました。また、19世紀前半のパリにおいて、多くの演奏家や歌手が栄養失調で野垂れ死んだ、という「平等とは程遠い歴史的事実」も彼らが言い伝えているところです。
そんな中、「戦争を撲滅した、人類が手を取り合う永久平和の社会」は遠ざかる一方です。もともと、我々、つまりヒトは、獰猛、狡猾、野蛮、卑劣、狂暴、粗野といった性質を持っています。それゆえにジャワ原人などを絶滅させ、生き残ったのですから。
ですから、「理念」というのは、もともとは、「実現できるか実現できないか分からないけど、人類が手を取り合って目指していくべき高邁な指針」というようなものだったのです。そのため、永久平和の社会が遠ざかっていく一方であっても、それを目指してひたすら努力していくしかない。そこへ向けて歩んでいくことに、「人間の残忍性の克服」という意義があるのです。
メルケルなどの政治家が心配していたように、EUは国際法学者、社会学者、哲学者と言った人文社会科学のPh.D.たちがイニシアティブをとって作り上げており、「法の支配」「民主主義」「人権擁護」「多様性重視」といった、彼らが専門とする人文社会科学の理念が色濃く打ち出されているのです。
その一方で、彼らも自然科学について全く無知ではありません。それゆえに、「ヒト同士が手を取り合って共存共栄する」ことの難しさについて、人文社会科学と自然科学の双方から複眼的に理解していることもまた否定できない事実です。そのことも踏まえ、EUに深く関与している大学者たちは、「EUは壮大な夢を追いかけている」と自認しています。
ベートーヴェンやシラーが謳いあげた理想が実現し、人類が手を取り合い、パスポートも国境もない社会がいつの日か実現したらいいですね。今は果てしなきユートピアでも、研究者や院卒人材が力を合わせれば、理想を実現している社会に徐々に近づいていく事はできます。