院に進学した人が必ずしも「語学で身を立てる」必要はない
大学院に進学したら、また「語学漬け」になるのかと悩んでいませんか。
私が大学院生の時、院生たちと、院試勉強で体験だったことについて語り合いました。その時、東京大学から東京大学大学院に進学した院生も全員、「第2外国語の単語を覚えるのが大変で、大半の労力と時間を費やした」と口を揃えて言っていたのを覚えています。
難関大学院は、社会学や政治学など、院進学後の研究において英語しか使わない人でも、第2外国語の入試が課されるのが特徴です。そのうえ、辞書が使えず、限られた時間で骨のある文章を全訳しなければならないとなれば、かなりのレベルまで単語を覚え込み、本番における「分からない単語」を潰していかなければなりません。知らない単語のオンパレードでは、どんなに読解力や和訳力がある人でも、前後の文脈から推測することすら、かないません。
そのため、「文系大学院=語学」というイメージがあるのですが、それは必ずしも絶対ではありません。「大学院」や「学問研究」と「語学」は似て非なるものですし、ある意味で、語学は「海外に在住していた人」「帰国子女の人」「外国語学部の出身の人」が得意なのは当然でしょう。
もちろん、フランス文学やフランス研究の人が大学院でフランス語を極めようとするのは素晴らしいことですし、語学で立身出世を画する人が大学院を踏み台にしてさらなる外国語向上を図るのは理に適ったことです。ですが、大学院に進学したからと言って、必ずしも語学漬けになって海外脱出や語学教員を目指す必要はありませんし、第2外国語を駆使する研究テーマを選ぶかは本人次第です(あくまで研究室の方針や指導教員との兼ね合いもあります)。
それに加えて、難関の国立大学院であれば、院試ではフランス語やドイツ語を選択した人が、大学院入学後に中国語やスペイン語などを学んで上級レベルにまで達することもあるのです。もちろんこの例は特別なものですが、語学習得については、あくまで本人の希望に沿って柔軟かつ都合の良いように対応していけばよいという前提に変わりありません。