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2024年7月30日

難関大学院入試の外国文学の対策とは?面接で失敗しないための注意点

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「外国文学を研究したいけど、院試では何が出題されるんだろう?」
という悩みを抱えている方も多いことでしょう。

ここではドイツ文学を例にして、外国文学研究の院試対策を紹介します。

「ドイツ文学」と聞いて、

ゲーテ『ファウスト』
トーマス・マン『ヴェニスに死す』
カフカ『変身』

などを思い浮かべることができる人は、かなりの読書家と言ってよいでしょう。

今回は、京都大学大学院入試について、私自身の院試体験や研究生活を含めてご紹介します。

 

ドイツ文学の研究方法は多様

まず、ドイツ文学の研究についてご紹介します。

ドイツ文学研究では、主にドイツ、オーストリア、スイスなどドイツ語圏の文学作品を扱い、その研究者は「ゲルマニスト(Germanist)」と呼ばれています。

研究方法としては、ドイツ語圏の文学作品を1つ取り挙げて分析するのがスタンダードですが、複数の作家や作品を扱ったり文学以外の作品を扱う場合もあります。

ただ、一口に作品を「分析する」といっても様々な方法が存在します。たとえば、作者の伝記的事実から作品を分析する方法や、社会的・歴史的側面からアプローチする方法、またショーペンハウアーやニーチェなど、作家が影響を受けていた哲学と絡めて作品を分析する方法など、研究方法は多様です。

私の場合は、学部生のころはトーマス・マン『トーニオ・クレーガー』、修士課程ではトーマス・マンの兄ハインリヒ・マンの作品を研究し、いずれも作者の伝記的事実と作品を比較しながら論じました。

 

院試の情報がほぼない状態からのスタート

次に、私自身の院試体験をご紹介したいと思います。

全国の文系大学院の受験生と同じように、過去問こそ入手できたものの、それ以外の情報がほぼない状態でした。語学以外に「専門科目」はどんな勉強をすればいいのか、正直あまりピンときていませんでした。

さらに悪いことに、当時の私には院試について気軽に質問できる先輩がおらず、周りに同じ研究室を志す同期もいませんでした。「しっかり勉強しておけば、まあ大丈夫でしょう」という教授の言葉だけを頼りに、4年生の4月頃からようやく重い腰を上げ、院試勉強という孤独な戦いを始めました。

 

ドイツ語と専門科目の勉強を最優先に

ドイツ語は、とにかく語彙力の強化に力を入れました。独検3級レベルまでを扱った比較的易しい単語帳を1冊購入し、それを終えたら少しレベルの高い単語帳に移行しました。

文章読解については、ドイツ語文献を講読する授業の予習・復習を丁寧にこなし、卒論のために講読していた小説やドイツ語論文の講読をコンスタントに行いました。授業と卒論執筆でかなりの量の難解な文章を読んでいたため、ドイツ語の読解自体にそこまで不安はありませんでした。

逆に、一番不安だったのは専門科目の対策です。入試要項には「ドイツ文学についての基本的な知識を要する」という文言があるだけで詳細は全くわからず、過去問を見ても設問は年度によってバラバラでした。

恥ずかしながら、当時は卒論の題材以外にドイツ文学の知識があまりなかったため、「ドイツ文学の知識を一通りつけなくては」と焦り、ドイツ文学史の書籍を1冊購入しました。知識が不足していた部分は何度も読み返し、「古典主義とは何か」「ゲーテがドイツ文学に果たした役割は何か」など自分で設問を立て、それを自分の言葉で書けるよう練習しました。

これら一連の勉強と普段の授業、それから週3日で入っていたアルバイトでかなり多忙になっていたため、英語の勉強に充てる時間がほぼないまま本番の試験を迎えることになりました。

 

各科目2時間を超えるハードな筆記試験

若干の不安を残したまま迎えた1日目の筆記試験の手応えは、「まずまずかな?」というものでした。

ドイツ語試験は全分野共通の問題だったため、普段読んでいる文献に比べるとかなり易しい印象でしたが、専門科目の中のドイツ語は骨のあるものもありました。単語勉強には一番力を入れていたはずでしたが、それでも所々に知らない単語があり、推測に頼らざるを得ませんでした。

また出題文に関連した論述問題もいくつかあり、まとまった文章を書く力の大切さを改めて感じました。中には知識の乏しい部分を論述させられることもあり、自分の得意分野へ強引に結びつけることもありました。

試験全体を通してまず感じたのは、集中力を保つ難しさです。語学、専門科目とも2時間を超える試験時間で、体力的にも精神的にもかなり疲弊しました。

また、これは余談ですが、私のすぐ後ろに座っていた受験生が始終落ち着きがなく、試験中に何度か大声で奇声を発していました。通常なら退場させられてもおかしくないはずですが、なぜか試験官たちは口頭で注意すらせず、当人は最後まで試験を受けていました。

試験時間に余裕があったため、私自身に大きな影響はありませんでしたが、周囲の人たちの行動が気になるようであれば、遠慮せず試験官に相談した方が良いでしょう。

 

面接で聞かれた内容は主に4つ

面接は筆記試験の翌日でした。

私は一応スーツを着ましたが、周りには私服で受験している人もいました。

試験官は2人、1人は私の指導教員で、もう1人の教員は以前授業を受けていたことがあるので顔見知りではありました。時間は30分弱。面接の内容は、主に以下の4点でした。

 

①研究内容について

私は内部生だったため、ある程度の研究内容は把握されていました。そのため、質問内容は「トーマス・マンは先行研究が膨大にあるため、今後前提とすべき論文をかなり読む必要がある。それでもこの研究を続けるか。別の作家で考えてみても良いのではないか」という踏み込んだものでした。

今考えれば、この質問は私の今後を案じてのものだったと思われます。この教員が危惧した通り、私はトーマス・マン研究に限界を感じ、次第にハインリヒ・マンに研究対象を移すことになりました。

 

②筆記試験の論述について深掘り

研究の話題の流れで、私が回答した論述問題に言及されました。「論述でクライスト(=ドイツ人作家)に言及しているが、どういうところに興味があるのか。どのような観点から研究できそうか」など、今後私がどういう研究ができるのか、その可能性を探られました。

 

③なぜ独文を選んだのか

これは、ほぼ興味本位の質問だと思います。「なぜ英文学やフランス文学ではなくドイツ文学なのか」という雑談程度のものでした。若干雰囲気が和んだ場面でもありました。

 

④博士課程に進学する気はあるか

恐らくほとんどの受験生が、どこかのタイミングで聞かれる質問だと思います。教員は自分の研究室の学生が、一人前の研究者になれるよう指導します。「ゆくゆくは研究者になってほしい」と考えるのが人情でしょう。

しかし、だからといって必ずしも「博士課程に行きます」と答えるのが正解とは限りません。「絶対に修士で大学を出たい」と考えているのであれば、正直にそう答えるべきでしょう。ただ、その場合は「ではなぜ敢えて修士に行くのか。学部卒ではだめなのか」という質問への答えは用意しておかねばなりません。

ちなみに、私は博士課程にもある程度興味があったため、「まだ本格的な研究を始めていないため何とも言えませんが、研究者への道(博士課程)も視野に入れています」という主旨を述べました。

面接の雰囲気は、比較的和やかなものでした。ただ、これは私が試験官の教員と顔見知りだったからかもしれません。というのも、外部から来た学生の中には、かなり厳しく問い詰められた人もいたからです。

「内部生が有利」としばしば言われますが、真偽はさておき、このような経験をすればそう感じるのも無理はないでしょう。

 

専門知識があることが前提のハイレベルな研究生活

大学院生になってからの一番大きな変化は、研究室に自分のデスクがもらえたことです。それまでは机はもちろん研究室さえ使えず、「研究をしている」という実感はほぼありませんでした。そのため、院入学時は「自分もついにドイツ文学の研究ができるんだ!」ととても意気込んでいました。

入学後、さっそく教授から修士論文の指導を受けました。修論とはそれほど時間のかかる大きなものなんだと感じ、ワクワクしながらも恐ろしくもありました。また夏には、修論以外に機関誌への寄稿論文の執筆も行いました。

これらの論文執筆の際、学部のころに比べて教授からのアドバイスが減っていることに気付きました。卒論の時には、印刷した原稿に教授がかなり細かく赤入れをして、その都度アドバイスもありましたが、修士課程になってからは「ここはこういう方面からアプローチしてみれば?」など、ザックリとしたアドバイスが時々ある程度でした。「人から教わるのは最低限であって、自分からどんどん知識を吸収していく積極性が大切である」ということを理解し始めました。

授業のレベルは、学部のころと比べ物にならないほど高くなりました。知識は持っていて当たり前。むしろ「知っていること」「理解していること」より、「知っていることを応用してどのように考えるか」が重視されました。

また、ほとんどの授業が少人数の演習やゼミ形式になり、自分の意見を述べる場面も増えました。授業中に眠くなるヒマはありません。京大院の文学研究のレベル的には、修士1年生よりも2年生や博士課程の人たちに合わせられていたように思います。

そんなこんなで、日々の授業準備と修士論文の執筆、そして生活費を稼ぐためのアルバイトで、毎日がバタバタでした。それでも、修士2年間は人生で一番知見が深まり、精神的に成長できた期間だったと思います。

 

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